アスペルガー症候群・高機能自閉症

アスペルガー症候群・高機能自閉症 あすぺるがーしょうこうぐん・こうきのうじへいしょう

両方とも「自閉症スペクトラム障害/自閉スペクトラム症」の中に包括される障害です。自閉症スペクトラム障害の特徴としては、社会的コミュニケーションにおける困難さや、興味や活動の様式が限定されていることが挙げられます。 アスペルガー症候群は、自閉症スペクトラム障害の中でも、言葉や知的の遅れがない(IQ70以上)障害です。 特徴としては、遠まわしな表現や比喩を使った表現、表情やしぐさから相手の感情を読み取ることに困難さがあるため、自分の話ばかりしてしまったり、相手が傷つく言葉を悪気なく伝えてしまったりするなどの困りごとがあるといわれています。 その他にも、一度決まったルーティンが崩れたり、新しい環境へ適応が必要になったりするなど変化に対する抵抗が強くあるともいわれています。 なお、高機能自閉症は、アスペルガー症候群同様知的な遅れ(IQ70以上)はありませんが、言葉の遅れが見られます。

自閉症スペクトラム障害の「スペクトラム」とは、「連続体」という意味です。つまり、アスペルガー症候群も高機能自閉症も連続性の中にあり、どの特徴・特性が「濃く」表れるかは、一人ひとり異なりますし、その子がいる環境によっても異なります。そのため、一人ひとりがどの環境でどのような困りごとを持っているかを明らかにしていくことが大切です。

原因

詳しく原因が解明されておらず、不明な点が多いです。遺伝的な要因と環境要因の相互作用であるといわれていますが、少なくとも家庭でのしつけが要因ではありません。 しかし、アスペルガー症候群は言葉や知的な遅れのないことから障害に気づくのが遅れたり、「わがままな子」「わざとやっている」などと誤解されてしまうことも

アスペルガー症候群・高機能自閉症によく見られる行動リスト

アスペルガー症候群・高機能自閉症の子どもとの接し方 療

アスペルガー症候群の診断や傾向のあるお子さまと関わるときには、以下のような工夫があることで生きづらさをやわらげることにつながります。
  1. 見てすぐわかる環境に整える
  2. 漠然とした空間や時間の把握が難しい場合に、目で見て理解することが得意なお子さまには、イラストや写真を使って、手順や1日のスケジュールを明確にしたり、空間を目的に合わせて仕切ることで、何をする場所なのかわかりやすくしたりすると、行動しやすくなることがあるといわれています。
  3. 指示は短く具体的に
  4. 「ちゃんと」や「きちんと」などのあいまいで抽象的な伝え方だと、人によって定義が異なり、特にアスペルガー症候群・高機能自閉症のあるお子さまにはわかりづらいといわれています。例えば、「きちんと片づけてね」ではなく、「車を箱に入れて」と具体的に伝えるとお子さまが取り組みやすくなります。その他にも、「走らない」など否定的な伝え方ではなく、「歩こう」のように肯定的な伝え方だと何をしたらいいかが分かりやすくなります。
  5. 注意をひいて、事前に伝える
  6. コミュニケーションをとるときに、口頭のみで伝えると、聞いていなかったり、聞こえていても注意が向いていないときがあります。そのため、肩を叩く、目を合わせてから話すなど、注意を引く工夫をすることで、伝えたいことを確実に伝えることができます。
  7. できる行動に着目し、できない行動は事前・事後の関わりを工夫する
  8. 対人コミュニケーションに困難さを感じるのは、どのように行動したりコミュニケーションを取ったりしたらよいかがわかりづらいためです。そのため、関わる側が、どのような行動をとったらよいかをその子にとってわかりやすく示すことが大切です。 また、うまく行動できた時は、直後にほめるなど、その子にとってうれしいと感じる場面を増やすことで行動の定着が促されるといわれています。その子がいまできていることをほめたり、ハードルが高い行動を促すときは、段階的にできるように関わり方を工夫したりして、周りとスムーズにコミュニケーションをとれるようサポートしていきます。


2020年04月08日 原稿作成:比嘉みちよ

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